怒りの機構改革:高岡市非常勤職員への差別待遇と『北日本新聞』報道

今朝の『北日本新聞』(県内総合面、p3)によると、高岡市は機構改革に伴う人件費の削減により節税をしたという。『北日本新聞』は、「経費2500万円が圧縮された」と記事を締めている(トップから見出しを探して下さい。全文が読めます)。

見出しは、「高岡市 非常勤職員の勤務短縮 節税効果は9500万円」 要するに、朗報として報じているのだ。しかし、これは、実際は雇用者の差別待遇を助長する悪改革である。要するに、弱いものいじめである。これを朗報として報道すると、報道によって弱いものいじめを正当化していることになる。これは間違っている!!

高岡市の非常勤職員の時間給は、750円程度(5年前に働いていた方によるとその当時710円だったという。年に上がって10円で上がらない年もあるそうだから多くて750円となる。実際はもっと少ないかもしれない)。週25時間で給与は年間90万円。年末年始やゴールデンウイークはがくんと減る給与だ。市はこれまで原則週30時間だった非常勤職員の勤務時間を週25時間に短縮し、雇用者としての社会保険料負担義務をなくしたことによって削減をはかったというのである。

一方、高岡市の正規職員の平均給与は、640万円。管理職になると1000万程度になる。そちらを減らさず、年間100万程度の非常勤職員の給与削減し、社会保険をはぎとるのは、不当な差別待遇を一層助長する。納税者としてこの税金の使い方には不満がある。

非常勤職員で社会保険の負担をしなくて済むのは、正規職員の4分の3以下だから、常勤対非常勤の時間給は、5対1になる。同じ時間だけ働いたと計算してもらえる額が640万円対120万円というのはあまりに奴隷待遇ではないか。しかも、実際は非常勤職員が基幹業務をこなしている職場も多いと聞く。正規職員への年4回のボーナス(冬季手当などを含む)の計算など、自分がもらえない手当を黙って計算する非常勤職員の立場を考えるとつらくなる。この不当待遇には本当に心が痛む。

これを決定した担当部課長など市職員ならびに、記者発表を受けてこの記事を書いている記者のいずれも、この社会において正規雇用されている方ばかりだろう。この施策が正規職員に比べ不当に劣悪な条件下で働いている非常勤職員の処遇を一層劣悪にする施策であることがわからないか、わかっても他人事であるとして、ほおかむりしているのだろう。しかし、心くらい痛まないのか。

また、職員を守ってくれる労組もこの場合動いてくれないんだろう。労組は、正規職員の賃金カットには一致団結して闘ってくれるが、非常勤職員には頼るべき労組もない。したがって、非常勤職員は、やられ放題、無法地帯である。

日本社会では、同じ仕事をしていても、雇われる際の身分が、「常勤」か「非常勤」かによって4対1とか5対1とかの給与格差が当たり前になっている。この不当な差別待遇に対して馴らされてみな沈黙しすぎていると思う。「パート社員」「非常勤」「契約社員」などの不当な待遇に対してもっと怒りを表明したい。

この問題、市の方針決定にも、それを追随して朗報とした報道にも怒り心頭に達している。

最後に、高岡市で非常勤職員をしていた方によると、非常勤として働いていた中に男性はいなかったそうだ。この差別待遇問題は女性問題である。間接差別の問題でもある。

こんな差別待遇を解消するどころか、上記施策のように悪いこととみなさずどんどん拡大再生産しているから漠とした社会不安が増大しているのではないだろうか。

【追記】富山市議会議員志麻愛子さんによると、富山市の合併に際して、在任3年余の森雅志市長に支払われる退職金がほぼ3,000万円、12年勤務した助役は8,000万円に上るという。特別職がこのように厚遇であることに対して志麻議員は、「市民にとっては受け入れがたい金額である」と反対討論をしたというが、反対少数ですんなり通ったそうだ。市民はこのことを知っているのだろうか。非常勤職員の低待遇(富山市もそう違いがないだろう)と管理職の好待遇のあまりのギャップに唖然とし、言う言葉を無くしてしまう。NHKに怒ったように、納税者としても税金の一部支払いストップしたいくらいだ。何かいい方法はないであろうか。

【正確を期して】上記金額、当初概算で書きましたが、id:demianさんがトラックバックしてくださっていることですし、正確な数字を挙げておきます。

  • 富山市長の退職手当は、2,975万7千円(3年3ヶ月働いた報償)、助役は8,009万円2500円(12年3ヶ月働いた報償)、収入役は1,512万9,600円(4年)というように、多くの人が一生働いて受け取る退職金よりも多額です。
  • 全国的にも特別職の退職金の見直しについては機運が高まり、減額する条例改正案が提出されている自治体もあるそうですが、全国中核市の中でももっとも高い位置にある富山市特別職退職金については、見直しが一切されずに粛々と支払われる(た?)そうです。
  • 当の富山市は、「財政危機回避緊急プログラム策定」をしている渦中にあるそうです。それなのに、一切見直しがされなかったそうです。責任あるトップが自らに甘いとは困ったことです。富山市議会もこんなのを黙って通すようでは、市民より官僚の方を向いているじゃないの〜〜と言いたくなります。〔上記データは、志麻愛子富山市議発行「さいしょの一歩」25号(2005年3月発行)によりました。〕