対人コミュニケーション力:鳩、魚

対人コミュニケーションというと、人を対象にしたコミュニケーションのことを指す。対人コミュニケーション力というと、通常、人と人との関係を指すのであろうが、対人コミュニケーション、特にほ乳類以外の動物のそれがアップしていることを感じ驚いている。他にも感じておられる方があるのではないだろうか。
 私が、ほ乳類以外の動物の対人コミュニケーション力のアップを感じたのは、先日東海道新幹線のある駅でホームの鳩にじっと「えさ」をおねだりされてしまったときのことだ。
 え、いつから鳥は人に意思を伝えることができるようになったのだろうか。特に、鳩が人に目を合わせ何かを訴えること、しかも、私がハンドバッグの中をもごもごさせている間中、鳩の彼女/彼は私の動向から目を離さないのだ。この人は餌をくれる可能性のある人と見定めているようだった。
 しかし、ホームの掲示には「鳩にえさをやらないでください」とあり、私はその鳩に餌をやる気はなかった。ただ、バッグの中に捜し物をしていただけだ。しかし、可能性がありそうだと思った鳩2羽は、私の周囲にまとわりついてはなれようとしなかった。しかも、そのうちの一羽は、目をじっとみつめるのだ。鳥にこれほどじっと何かを訴えられて見つめられたのは初めてだった。「この人は餌をくれそうな人だ」と見定めているのがわかる。私は「えさはあげないのよ〜」と繰り返したが、反応なし。そのうち諦めて離れていった。しかし、いつの間に鳩はこのように対人コミュニケーション力を磨いたのか。自分が対人のコミュニケーション力をアップさせられないものだから余計にその向上心に刺激を受けた。

 そういえば、数年前に近所の居酒屋に行ったときも、ペットとして飼っているという水槽の魚に餌をねだられじっとみつめられて驚いたことがあった。魚の対人コミュニケーション力にも驚かされた。釣りでつってきた魚だけどしばらく水槽で飼っていてえづけをするようになってから変わったとお店の人は言っていた。私が指を水槽にくっつけるとそこに向かってじっと突き進んできた。このコミュニケーション力もすごいことだ。
 ほ乳類では、いるかとかペットの動物とかと人との交流はよくある話だ。
 しかし、ほ乳類以外の野生の鳥や魚がいつのまに対人コミュニケーション力をつけたのか、不思議ではないだろうか。