【書評】『女性展望』「図書室だより」『ジェンダー研究が拓く地平』


『女性展望』「図書室だより」(2月号)で、原ゼミの会編『ジェンダー研究が拓く地平』文化書房博文社刊をご紹介いただいた。そのなかで拙稿「敗戦直後の新聞に見る『女性参政』」を紹介してくださっていた。

「戦後すぐの朝日新聞が女性参政に熱心だったこと、女性が参政権を初行使した46年総選挙の新聞写真がどれも「ねんねこで投票する女性」であることから、当時の新聞や女性運動が何を目指し、社会秩序がどのように作られていったかを「批判的ディスコース分析」を用いて検討。女性参政即女性の地位向上とはいえない複雑な様相を浮き彫りにした」

これは戦後の女性参政権運動に対して厳しく問い直すスタンスで書いたものである。論文として書いた時にも書評としてあるいは引用としても紹介されたことはなかった論文だ。それなのに、戦後参政権運動の正統な継承者である『女性展望』誌がこのように好意的に紹介してくださったのには驚いた。私はあわてて居ずまいを正さねばと思った(立場もあおりになるのに、そのように言っていただいた寛大さに敬意を表し、さらにもっと探求せねばという励ましを得た気持ちです)。


この本が出た昨年は、早稲田での批判的言説分析の国際シンポでもこの論文を発表する機会をいただいた。そこでも「ねんねこで投票する女性像」は興味をもってもらえた。現在報告書にするべくまとめている。さらに、現在「使える批判的言説分析の本」を準備中であるが、論文はその中でも1章を割くべく、書き直しをしているところである。


1998年に書いたものが、7-8年たってようやくちょっと伝わったのかもしれない。あるいは、占領期のことに関心が向いているのであろうか。いずれにしろこのテーマをさらに探求していきたい。

なお、印象的な色の表紙デザインは大海花さん作です。大海さんについては下記を。http://www.akamg.com/ogai/page/og_profile.htm