富山県議会議長の「問題」発言・続報について

富山県議会議長の「問題」発言で書いた件についての続報です。米原県議会議長が質問状に回答したことが今朝の地元紙などに掲載されています。いずれも判断抜きに「事実」として書かれているのがポイントですね。これでは一件落着とはならず、なんだかキツネにつままれたままの感じ。

北日本は、「市民グループの質問状に議長回答」という見出しで、不適切な部分があたっとして発言趣旨などの回答を求めていることに対して議長の回答の一部を引用して書いています。

米原議長は「いじめや不登校児童虐待などの問題について、男女が共同して社会に参画する、現在の課題として取り組んでいかなければいけないという思いを述べようとした」とし、男女共同参画社会は「男女が能力を十分に発揮できる公正な社会であると理解している」と回答した。


それに対する市民グループの見解も一切載せておらず、これでは読者はいったい議長の回答はどれくらい「不適切」であったか、いやそうではなかったのかが読者にはわからない・・・

朝日新聞富山版の記事は・・「不適切発言」を県議会議長回答 男女共同参画めぐり

議長は回答の中で、いじめや児童虐待などの社会問題の背景に家庭や地域社会の支え合いが乏しくなっていることを指摘。そのうえで「これらの問題に、男女が共同して社会に参画する現在の課題として、真摯に取り組んでいかなければならないといいう思いを述べようとした」とした。


読売新聞の記事は、ちょっと違いました。もちょっと突っ込んでいます。

男女共同参画」問題発言 県議会長の回答 市民団体に届く

昨年11月、男女共同参画社会が社会問題の原因になっているとも受け取れる発言をした米原蕃・県議会議長に対して、市民団体「シャキット富山35」が抗議の公開質問状を提出していた問題で8日、米原議長の回答が郵送で団体に届いた。「様々な問題が男女共同参画とどう結びつくのか」という質問に、米原議長は、「いじめや児童虐待などの問題は、家庭、地域社会で、お互いに支えあうことが乏しくなってきたことによるところも大きいのではないか」とし、そういう趣旨を述べようとしての発言だったと釈明した。

米原議長は質問状が出された先月30日、読売新聞の取材に対して、「意味のはき違え、個人の主義主張だけが声高に言われるようになった世の中をとらえての発言だった」と弁解。団体にも「言葉足らずだった」と陳謝している。回答を受け、団体の橋本悠紀子・世話人代表は、「回答は会員に電子メールで報告した。11日に会議を開いて内容を吟味したい」と話している。


3紙比べると、読売だけが事後取材の結果も載せているし、市民グループの今後の対応も書くなどもっとも熱心な報道と言えますね。

「議長が回答」という議長を主語とした書き方ではなく、「市民団体に届く」と市民団体の行動を主体にした書き方であるからこれだけ読者の関心事を報告できるようです。だれを主体にして書くか、書き方の問題は大きいですね。日ごろ記者クラブに所属して政治家を身近に感じている記者さんは政治家を主語として記事を書くことに慣れておられるのだと思うのですが、今回は質問状を出したのが市民グループなんだから、市民グループを主体として書く書き方をした読売新聞の方が読者の関心に沿うやり方だなと思います。