金沢産の高岡漆器って?
ミッドタウン東京に行ったので、ミッドタウン東京で売れていると地元紙でみた、ひとつ10万円以上もする高岡漆器の「名刺入れ」をみてきた(写真はイマイチ。実物はもっときれい)。とてもご縁がない代物だが、 これ のことだ。いっしょに行った方は、銀座の一流どころのママさんに似合うとか言っておられたが、「世界を股にかけるジェットセッターが、日本文化や技術をさりげなく海外で自慢できるステータスアイテム。」と売っているみたい。プロデュースやデザインした方のお名前をみると、いずれも女性なのかな。職人は、高岡漆器の 武蔵川工房の武蔵川剛嗣さんという若手。「ハラキリレッド」「サムライブラック」「フジヤマホワイト」などと命名したのは高岡漆器の国本耕太郎さんらしい。
そのお値段のすごさ(この写真のもので10万円余り)と、螺鈿の美しさにも目を奪われたのだが、高岡から出かけた私にはもっと驚いたことがあった。それは、ミッドタウン東京の「ジカバー・ニッポン(ThE COVER NIPPON)」というお店で、「金沢の伝統工芸でございます。高岡漆器という会社で作っております」という説明がなされたことであった。しかし、帰ってきて確かめたが、やっぱり金沢は間違いで、高岡の伝統工芸技術を活かしたものらしかった。
高岡市は、漆芸、螺鈿、鋳物、アルミ、銅着色、モデリングなどの多種多様な職人技が息づく街。この中でも、螺鈿職人の武蔵川剛嗣さんは、まだ後継者の居ない最後の若手職人。螺鈿を贅沢に取り入れる事にしました。
作業を見せて頂くと全ての行程が熟練技術を必要とする細かな手作業。一枚の花びらを仕上げるだけにも莫大な労力と手間のかかるものでした。
螺鈿は、あまりごちゃごちゃと多色にしないパターン限定で(古くはごちゃごちゃと多色のバージョンが多かったが)、最近人気あるように思う。l青貝塗り(螺鈿)とは?を見ると、次のようにあるが、「螺鈿」という光る貝を使った技術が高岡漆器にあるということはあまり知られていないのではないか。(個人的には、青貝よりこの名刺入れのように白蝶貝かな、白っぽい色の方が好きだ・・)
工芸として生産される青貝塗りには、夜光・鮑・蝶貝等が使用され、貝特有の干渉色は名状し難い美しさに輝き、華麗優美な漆器として高く評価され、伝統的工芸品として国の指定を受けています。
いっしょに行った方と、最初は「これってどうよ?」と言い合ったが、でも「『金沢産』という方がよく売れるのは仕方ないかもね」「富山県や高岡市といっても知っている人も少ないし、伝統工芸の産地としてのイメージが確立していないからね」などということになった。
いっしょに行った地元経緯者が、「金沢産ということで売れてるんなら、金沢の高岡漆器という会社の製品でも構わないんじゃないかな」と言われたが、果たしてそんなものでしょうか? わたしは、螺鈿の人気がある今こそ、高岡漆器を売り出すチャンスだと思うのだ。