表札キットから考える「ネームプレート」文化
モンタナ州在住の 山口智美さんが高岡銅器で作った自作ネームプレートをブログで写真と共に紹介してくださっている。高岡銅器の表札がモンタナへ トラックバックしていただいているのだが、みえにくいのでここで紹介することにしよう。
この「ネームプレート」(個人的には「ネームプレート」のほうが「表札より」アメリカでは似つかわしいような気がするんだが、、)、3度太平洋を渡って完成した代物だ。最初は、わたしが手作りキットをシカゴでの全米女性学会に持って行った。このネームプレートはシカゴで原型となる名前のデザイン画が描かれたということだ。そしてその発泡スチロールの型を持ち帰って、高岡の大寺幸八郎商店の大寺雅子さんにお願いして、どういったデザインにするかを決めていただいた。
雅子さんは、長年デザインから鋳物行程まで全部手がけてこられた腕のいい職人さんであるとともに、生活感にあふれ、センスもいい女性なのでお客さんとのコラボもお手の物。仕上がりに定評があるのだ。鋳物など長年男の世界だった分野にこういう経験豊富なすてきな女性がいらっしゃるのは心強い。
雅子さんは智美さんの書かれた3つのパターンをみてすぐに、とても勢いがあるのでこれがいいと「ともみ」バージョンに即決。勢い余った部分もちょっと詰め物などをされてうまく勢いを残して字も読めるように仕上げてくださった。全体のバランスとしても、名前は黒でもどっしりとした黒にして、その分バックの銅色の部分に磨きをかけるというふうに、地味にならないようにわりと明るめに仕上げてくださった。
今度、表札といってもアルファベットと漢字、平仮名といろいろのバージョンを試してみたが、山口智美は日本語名としては、そう複雑でなくすっきりと収まるのだが、Tomomi Yamaguchiは、結構 スペースをとるのだ。銅のネームプレート、「余白の美が命」。日本語漢字とアルファベット名併用案は、あえなく敗退した。
銅器表札は(アルミ表札でも)、もし海外に進出しようと思うなら、もうちょっとサイズのパターンが多い方がいいかもと思った。
日本では木の表札でも鋳物の表札でも、字にこだわってきれいな字や味のある字で表現しようとします。その流れのなかに手作り表札キットがあるのだと思われます。しかし、「ネームプレート」を美しい字でつくってもらおうとか、自分の手で書いてつくろうというのは世界のどこにでもあることなのでしょうか。それとも、山口さんも習字を引き合いに出しておられますが、これは書道文化の流れなのでしょうか。ちょっと気になりました。わかる方があれば教えてください。
鋳物でつくる表札キットからあれこれ考えました。