トランスジェンダー・おねえキャラ・性同一性傷害

『揺らぐ性・変わる医療』本が出た エントリーを書いたら、コメント欄でmakikoさんが『医療・看護スタッフのためのLGBTIサポートブック』を紹介してくださった。

やりとりは以下のようだった。

discour 『>makikoさん 『医療・看護スタッフのためのLGBTIサポートブック』届いたので読ませていただきました。看護学校での社会学授業で「性・セクシュアリティ」をやろうと思っています。その時に、makikoさんの箇所(「トランスジェンダーの健康のためには、どのようなサポートが重要でしょうか?」p.74-75)を活用させてもらうおうと思います。』

makiko 『お買い求め頂き、どうもありがとうございます。看護学校でも教えられているのですね。ぜひぜひ、といったところです。女性外来などは最近になって増えてきましたが、LGBTIになると存在すら認知されていないことも多いので、まだまだこれからだと思います。discourさんのかかわれたご本もなるべく早く読ませていただきます。』

discour『>makikoさん
>LGBTIになると存在すら認知されていないことも多いので、まだまだこれからだと思います。
ほんとにそうでした! 「性同一性障害」という「ことば」だけが一人歩きしているようで、LGBTIはどれもさっぱり認識されていないことがわかりましたわ。習ってもいないようでした。道通しを感じました。』

 わたしは、看護学校で担当している社会学の枠で、映画『新宿ボーイズ』を見せた。性(sex,gender,sexuality)といってもいろいろあって、性別も男/女にすぱっと割り切れないし、性愛も男が女に、女が男にという異性愛だけと割り切れるものではない。LGBTI(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex)本にも触れつつそんな話をしたり、やりとりをした。そのなかでわかったことがいくつかあった。その第一は、まだ1年生だからかもしれないが、看護学校でLGBTIについて学ぶ機会ってあんまりないと言っていたことだ。

第二には、芸能人にはトランスやゲイの人が多いが、学生さんらにとっては、KABA.ちゃん、IKKO、山咲トオル、おすぎ、ピーコ、假屋崎省吾・・・らは、「おねえキャラ」であるという事実だ。だれがトランスジェンダーでだれがゲイなのかといったことは考えたこともないんだそうだ。

最後に、性同一性障害ってことばはよく聞くようになったが、トランスジェンダーはあまり聞いたことがないということだった。で、性同一性障害も、ことばが一人歩きしているだけで、現実生活で出会ったことがないので実感がないと言っていた。

結局、トランスジェンダーについても他のセクシュアルマイノリティについても、実生活の中でそれを認識することがほとんどないので、ピンとこないということだった。そして、看護職として、トランスジェンダーの方が受診されたらどういう対応をしたらいいのか皆目わからない、どう配慮したらいいかについて直接当事者の方の話を直接聞いてみたい、という声があがった。そこで、わたしは現在それが実現するように交渉中だ。 

makikoさんが当ブログにコメントを書き付けてくださったことがきっかけとなり、看護学校の学生さんとトランスジェンダーの方との対話が実現するなら、ブログ冥利につきるなあ。

なお、『揺らぐ性・変わる医療』については、トランスジェンダーの章をはじめ、次のエントリーで書いていきたい。