男女共同参画と自衛隊
今朝の『北日本新聞』(2008年3月21日)をみてびっくりした。富山県内の男女共同参画関連事業で陸上自衛隊員が「わが国の防衛と災害派遣」と題した話をしたというのだ。しかもその話を聞いた参加者が話したことは「男女がどのように協力し、災害に対応するか」ということだったという。
小矢部市男女共同参画推進員連絡会(河合千枝子代表)の出前講座「能登半島地震から何か学ぼう」は20日、同市松沢公民館で開かれた。
陸上自衛隊富山駐屯地の稲瀬一郎指令が講師を務め、地区住民約120人が参加した。稲瀬指令は「我が国の防衛と災害派遣」と題して、昨年3月に発生した能登半島地震での災害復旧活動を紹介。参加者は男女がどのように協力し、災害に対応するかを考えた。
男女共同参画というテーマがいまや性について広い問題群とは関係ないところで広く使われている。単に、「男女仲良く協力する」ということとして理解されているんだなと思い知らされる。しかも、「男女協力」を「災害対応」というリスク社会の文脈で提示することによって、陸上自衛隊は「男女共同参画」についての出前講座で「わが国の防衛」を語ることができるところまで来ていることに愕然とする。男女共同参画は、有事における国民総動員へと限りなく近くなっていく(なっている?)のではないか。
しかも、富山県の男女共同参画推進員制度は、市民の自主的な活動であって、行政からの押しつけではないということになっている。市民が自主的に陸上自衛隊を呼んで話を聞くという形をとっているわけだ。写真には、自衛隊の制服を着た男性が3名ほど前におられる。話を聞いている参加者は頭が白髪の方が目立つところからすると、退職した高齢者が多いように思える、こういう実態をみていると、「男女共同参画」には賛成ではなく明確に反対を打ち出す時ではないかという気がしてきた。