富山弁のアニメがおもしろい。
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わたしはgreen cafeという黒部市のカフェのCMで入る入らないっていっている兄弟のかけあいに、方言の味わいを感じて惹かれた。たとえば、galleryの5など。でも富山弁ネイティブ以外の方には、何を言っているのかわからないだろう。まあ、富山弁といっても黒部や魚津など県東部地域とわたしが育った福光や今住んでいる高岡など県西部地域とでは、語彙もイントネーションもかなり異なるのだが、理解できないほどじゃない。
富山にも多国籍の外国人が住み、多文化なレストランなどが増えグローバリズムの影響をひしひしと感じる昨今であるが、この方言アニメも「国民国家」の正統性を保持するしくみの一つである「正しい日本語」というものにそうこだわる必要がなくなっているグローバル化する状況とも底流でつながっていそうだ。
ことばが現実社会で果たす影響は大きい。明治政府は、「一つの国語」「一つの国民」というイデオロギーを作り出すために「正しい日本語」として東京山の手中産階級の教育のある男性のことばを「標準語」に決めた。これは、それまで各地でそれぞれ百花繚乱のように花咲いていた「方言」を「滅ぼすべき相手」ととらえ、実態調査をしてまで否定し排除していった。それまであったにもかかわらず、「正しい日本語」から除かれたものに、植民地語、職人のことば、女の話し方と並んで「方言」があったのだ。(中村桃子『「女ことば」はつくられる』ひつじ書房)そうした明治政府の殖産興業化による国民国家化の動きによってそれまで米作と海運で比較的栄えていた北陸地方は取り残され「裏日本化」していく。
グローバル化著しい富山において、富山方言がアニメ、インターネット配信という新たなメディアを活用して再生されているのに新たな地域主義を読み込むのは早計だろうが、この動きには興味深いものを感じる。
【追記】この野口五郎岳への登山するにいちゃんとブーチョがすっごくおもしろい。ぜひ、どうぞ。http://anime.livedoor.com/movie/1e5bfd62558cd8c5/