新学期は他己紹介から

 雪でしんしん冷えたシカゴはついこないだだったというのに、今日など富山の気温は27度と車に乗ったらクーラーが必要なほどだった。そして今週から専門学校の新学期が始まっている。今年は、最初の時間に他己紹介を取り入れてみた。学校ごとに特色があってなかなか楽しかった。まず最初に4-5人のグループにわかれて、2人一組で紹介するために、1)名前、2)出身や好きなこと、家族ネタなど、3)いいところ(強み)の3点について、相手について聞き出したこと、あるいは相手の強みと思うことを1分でまとめる。その後、紹介する人、される人の2人一組で全体に向けて紹介してもらうという段取りである。

 自己紹介より事前取材をやるためか、内容も豊富だし、盛り上がった。他人を紹介することのほうが恥ずかしさがないせいもあるのだろうか。また保育系の学校はパフォーマンス系に強く、「○○さんは、こういう子ですからみなさん仲良くしてやってください」などと上手にアピールする子が多かった。話し方も全体に向けて語りかけ乗せていくのがうまいなと思った。看護系は誠実さが勝っていただろうか。

 他己紹介をしようと思ったのは、自分を肯定し、自分の価値があるということを感じる機会は多いにこしたことはないと思ったからだ。それと、グループワークの試運転ということもあった。最初、自分では強みなんかないと困った顔をしている学生も少なくなかった。が、隣の学生に尋ねると速攻でその子のいいところが出てくる。グループで話しているとあっという間に内容豊富な紹介ができあがり、次第に一人1分を超えて語り倒していった。

 クラス全員の他己紹介を聞いているうちに学生の一人一人の生活や背景が少しずつかいま見えてくる気がした。4人きょうだいという子が何人かいたり、ペットを飼っている子もやはり多いなとか。おじいちゃんおばあちゃんと暮らしている子はそう多くないんだとか。また、看護学校には母が看護師ですという子がいるし、保育の学校には母が保育士ですとい子がいた。彼女たち、彼らがテニスやハードル、バレーボールなどいろいろなスポーツやピアノ、バイオリン、三味線などの楽器、ヒップホップや新体操などの身体表現などに長けているんだなということもわかった。それと同時に、せっかくいろいろしゃべってくれたのに、彼女たちの好きな歌手やアニメなどにわたしがぜんぜんついていけていないこともよくわかって、自分自身には、あーあと自己肯定感ダウンする機会となった。学生の自己表現力は、見習わなくちゃと思うほど巧みであったし、、。

 まあ、彼女、彼らが、アピール力がある、誰でも近寄りやすい、いつもにこやかでいられる、頼りがいがあるといった自分の強みを再確認する機会は多いにこしたことがないと思うのでやってみた他己紹介であったが、彼らの語り口から、彼らが十分に生活を楽しんでいる気がして、自己肯定感もそれなりにありそうだと思えたのが何よりであった。