「大阪に行ってきた」と言ったらバイ菌のように扱われた

 今朝、某専門学校に行って、マスクをしている子がいたから「どこで買ったの? 私大阪に行ってきて帰ってきて、高岡でドラッグFに行ったけどマスク売ってなくて・・」といったら後は教室が大騒ぎになった。「わたしたち、担任のK先生から緊急連絡網で連絡来て大変だったのに、、。先生、連絡網来なかったの?」「来なかったよ」「それって問題じゃないのー」「先生、大阪行ってきたんだよね。」「先生も人間おうちに入るんだだから、、」「いついったの?」とかなんとかうるさいこと、うるさいこと。

 一番前の席に座っている子たちは、自分の口を押さえていやそうな顔をわたしに向けている。「あー、わたしがバイ菌もっていると思っているんだね」と聞いたら「うん」とうなづいていう。「だって、大阪行ってきたんでしょう?」と。なんだか大阪行ってきた人には接触したくないと思っているらしい。「だって、緊急連絡網来たんだよー」「担任のK先生に報告した?」「大阪で新型インフルエンザが感染していること知っていますか?」としきりにいう。それと、「大阪でマスクしていた?」と聞く。わたしが「うん、大阪ではマスクしていたよ」というと、「あー、それならだいじょうぶだ」とか安心したようにいう子も。マスクしていりゃいいってもんでもないでしょうに。

 仕方ないから、日本政府がインフルエンザでマスク対策を厳密に励行し、空港で厳しい検疫体制を敷く「水際作戦」をとっているけど、実際は感染者が爆発的に増えており、マスク対策も水際作戦も効果がないようすだということを話した。そして今、日本政府も対応を変えつつあることを伝えた。

マスクは予防に役に立つのか 日本と海外では使用法全く違う」という記事にこのようにあります。

「医学的に、マスクをすれば感染しないと裏付ける海外の文献はほとんど聞いたことがありません。WHOのガイドラインにもマスク着用は書いておらず、本当に役立つか何とも言えないということです。欧米では、感染者がほかの人にうつすのを防ぐためにマスクをするので、健康な人はマスクをしないわけです」

「日本では、公衆衛生の習慣になっているからでしょう。日本独特のもので悪くはありませんが、それで防げると信じるのは危険です。手洗いは十分でないようなので、それを徹底させるべきでしょう」

「そもそもマスクをずっとしているのは難しいのでは。アメリカに行った人からは『マスクをしてスーパーに入ると、警官が呼ばれる』と聞きました。マスク姿だと、強盗か、よほど重症かと思われてしまうようですからね」

 なんとなく遠ざけるなどの対応が差別を生んできたことについても一言言っておいた。当事者になってみるとよく実感できることよー。今度は大阪や神戸の人や行ってきた人たちが差別の対象になっているのかもしれない。最初、メキシコから発生したために、日本でもちょっと前にはメキシコ人やメキシコ料理店がバイ菌感染者みたいに扱われたが、それが差別なんだよということも伝えた。大阪の話では納得しなかったものの、メキシコの話をしたら差別になることも少しわかってもらえたようだった。しかし、こういうことが差別につながるってことはわかりにくいようだった。

 授業が終わってから、職員室に行って顛末を話し、「私大阪行ったの報告しなくてまずかったですか?」と聞いたら大笑いされて大受けだった。連絡網が機能しなくて大変だったのに、そんなこと言ってる、、という感じだったらしい。別に報告しなくても先生達は気にしていない様子だし、わたしが大阪行ったことも別にだれも気に留めていないようすだった。あの学生たちの「大阪」への反応はいったいなんだったのだろうと思った。授業は、彼女たちの思う「結婚について」発表してもらい、大いに盛り上がったのだが、わたしは「大阪行った」というだけですごい反応を受けたことにびっくりだった。

【追記】今回のインフルエンザ・パニックに対し、HIVパニックやハンセン病の時の反省が忘れられているのでは?とHIV訴訟原告団弁護団から緊急アピールが出されたそうだ。こちらに載せておきましたので、よろしかったらお読みいただければと思います。