「ありがとう」か、「ごめんなさい」かの違いーー日独の戦争への反省の仕方

元北陸大学教授・田村光彰さんの「戦争の犠牲者とは誰か」(『北陸中日新聞』2015年3月6日)は、ドイツのワイゼッカー元大統領を悼む寄稿である。


田村さんは、国家が靖国神社において英霊に「ありがとう」と感謝をする日本と、「犠牲者とは誰か」を心に刻むように語り、犠牲者に「ごめんなさい」と謝罪するドイツとを対比させ、そうした行為の意味するところを私たちに問いかけている。



英霊に「ありがとう」と感謝する行為は、いいことに対して行うのであるから、繰り返される恐れがある、というのだ。「戦没者を褒めることやありがとうは次の戦死者を想定し、『後に続け』につながる危険性」があるという宗教学者の菱木政晴氏のことばを紹介している。



そして、「国家は、英霊として「ありがとう」と感謝するのではなく、まずもってドイツのように、「ごめんなさい」と謝罪するべきである。謝罪は悪いことに対して行うので、繰り返さない決意となる」という。



田村さんの寄稿記事により、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも目をふさぐ」というワイゼッカー演説の意味を改めて納得した次第である。