『富山は日本のスウェーデン』(井手英策著・集英社新書)への異論をいう集会の記事

 

女性の地位向上など 学習会で問題を提起 

「日本のスウェーデン」に異論

>同書では、出生率や女性労働力率が高いことから北陸と北欧の類似を指摘する。しかし、県内では女性の就業率が高くても管理職の割合は低く、家事負担率も高いことから、女性の地位の低さや負担の大きさなど重要な視点が抜け落ちていると批判も出ている。会では困窮者支援に関わる人やシングルマザー経験のある人らが登壇し、暮らしの中で感じる問題や県の政策について自由に発言した。

二十数年前にスウェーデンを視察した「認知症の人と家族の会」の勝田登志子さんは同書に「介護の生活実態が書かれていない。富山はスウェーデン? 全く逆だと思う」と語り、高岡市のウェブ制作フリーランス笠谷亜貴子さん(48)は「(富山では高福祉が)女性の犠牲と我慢によって成り立っていることを称揚している。スウェーデンで公的な福祉である部分を、自助努力でカバーしている富山はすごいという褒め方に違和感がある」と話した。

会場からは「県内の首長はLGBT(性的少数者)問題など人権の問題には無関心」といった意見が出ていた。主催者の一人で富山大非常勤講師の斉藤正美さんは「集会では認知症、男女賃金差別、障害、LGBTなど抱える問題は違えど今の政策では困るという人がいた。制度を変えたいと考える人たちの小さな声を聞き取る場を今後もつくっていけたら」と話した。 (柘原由紀)

 
 

http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20190221/CK2019022102000244.html