学術会議「身体・性差・ジェンダー」

日本学術会議主催で開催された「身体・性差・ジェンダー――生物学とジェンダー学の対話」という公開講演会に出席してきました。みなさまだれにでもわかるようにお話になられたのはとてもすばらしいと思いました。対話はう〜ん成立しなかったような気がします。それぞれの学問領域が前提にしていることが違いすぎるのにそれには話が及ばないもどかしさがあったような・・・。たとえば生物学では、あくまで動物を個体や集団とその行動を中心にみているが、しかしどっか深いところでは人間のことのために参考になるべく実験とか観察とかしているところがあるんじゃないかという印象があったし、、。自然と科学(文化)とはくっきり分けて考えているとか、自然はコントロールできると思っていないか・・・とかいろいろ・・しかし、そういった前提や認識枠組みについてはまったく触れられなかったのがもどかしく感じた原因のように思えました。


でも、生物学の方たちの考えておられることやリアルな研究者に触れることができ、なんとかなく雰囲気がつかめたのはよかったかなと思いました。自然科学の方は、目の前に飛び込んでくる現象をそのまま客観的に理解するのが研究だとおしゃられてました。これに対しては、上野さんが最後に、ジェンダー学はジェンダーの正義、社会的不公正をただすことを目的としているとおっしゃいました。しかし、決定的な溝は埋まらないままだったように思いました。途中で、人間には、生物学的性差がしかりとありその上に表層的にジェンダーというものをまとうのだというようなコート掛けとコートの議論になりかかっていたことを落合さんが疑問を出されていたように思いました。いずれにしろ、うまくかみ合うというより、相互に違う前提に立って議論していることを核にしたというのがわたしの印象でした。


で、本ブログに関連するネタとしては、スピーカーのお1人であった上野千鶴子さんが、今でたばっかりの『バックラッシュ!』本の小山エミ論文が周到に論じているのでご覧くださいと、ピンクの本を壇上で掲げられましたよ。注目度満点と思いました。上野さんのお話も大変すっきりと整理されてわかりやすい説明でした。ただ、性同一性障害という見出しのパワポで、「長期にわたる身体の変形の過程とその不完全さ」といった話の後で「Cf.ブレンダの症例」として紹介されたのでその後質問で繰り返しブレンダの例が取り上げられることになり、上野さんとしては、ちょっと大変だったかなと思いました。休憩時間にたまたま近くを通られたので、これは誤解されると懸念を伝えたのですが、予感が的中しました。どなかた行っておられた方がいらしたら感想が伺えるといいですね。