武蔵工大での「メディアのジェンダー・イメージ」授業終わる

 ここに記しておこう。武蔵工大http://www.musashi-tech.ac.jp/では、環境情報学科と情報メディア学科の学生さんに「社会とジェンダー」のなかの一コマとして、メディアのジェンダー・イメージについてビデオやDVDをみたりしながら授業をしてきた。途中で、「ここに幸あり」の歌を大海先生に口ずさんでもらったら、学生さんから手拍子がおこり、終わると130人の教室から一斉に拍手が沸いた。わたしは小声でご唱和しただけだったが、間髪を入れずに帰ってくるリアクションが楽しくて一瞬なごんだ。大海先生が日頃、130人クラスでも学生さんに話し掛けてリアクションを引き出しておられるようでそのために学生さんの反応がよくしゃべりやすかった。事務室の方にも機器の操作などでお世話になったが、親切だし行き届いて感じがよかった。教員室で土橋臣吾先生にも偶然お会いできたのは思いがけないサプライズ。いろいろ楽しませてもらった。貴重な機会をもたせていただいて感謝しています。


 学生さんからの感想もまた刺激されることが多かった。根源的にというか、真っ正面からちゃんと深く受けとめてくれる筋のいい学生さんが多いという印象を受けた。それと、情報メディア学科の学生さんは、やはり映像へのコメントが鋭いのが特徴でした。ちょっとだけ紹介してみる。「授業の最後にみた学生たちがつくるジェンダー視点を含めたCMについてですが、CMの中に出てくる男女比をいっしょにすることが男女平等なのか、またそのCMに出てくる会社で働いたり利用したりする客の男女比に合わせてCMをつくることが男女平等なのか、どちらがよい平等なのか、よくわかりませんでした。しかし、ジェンダー視点を取りいれてCMをつくるのは大変なことなのだなと思いました」・・・企業の姿を男女平等だと訴えるのか、それとも見せる視聴者や顧客の性別を意識した方がいいのか、という着眼は鋭い。


「時代の変化にともなってメディアアイドル、つまりCMの女性像、男性像ももちろん変化している。しかし男性の女性に対する根本的なイメージはそこまで変わってないようにも見えた。だが、登場する人たちを見ることでジェンダーに対する社会の認識の違いが分かるのでとても興味深かった。」・・そうだよね、数十年ですっかり変貌ってことはないよね、ちょっと変化を強調してみせたかもね。「今回見せて頂いた、ジェンダー視点のCMが実績を出せば、メディアにおける扱いも変化できると私は思います」・・・確かにそうだ。「ジェンダー視点でつくったCMは、固定的イメージが全くないので少しおもしろみに欠けているなと思いました。やはりCMは、ある程度の固定的イメージは欲しいなというのが私のホンネです。現に一番よかったCipyのCMでも、最初に妻が離婚を切り出すといった固定的イメージが現れていて面白かった。CMはやはりどうしてもインパクトが欲しい物ですから、ある程度の固定的イメージを使うのは仕方ないと思います。大事なのはやはり『何でも男性的、女性的にとらわれる必要はない』ということを教えることだと思います」・・これは鋭いご指摘だと思いましたです。確かに、固定的イメージだからこそのインパクトという面もあるんだろうと思いますねえ。


ジェンダー視点を意識したCMづくりは、一見難しそうにみえるが、完成したものを見るとどれも人情味あるCMでぬくもりを感じることができた。男はこうあるべき、女はこうあるべきという固定観念にとらわれない内容のCMは、性別にとらわれずに全ての人を対象にしており、それゆえ自由度も高いと思う」・・というご意見も。なるほど、あとは自由の活かし方次第かな。「私としては、メディアに影響されてなりたい私など目標があるのはいいことだと思うし、ある程度の女性、男性の固定イメージはあってもいいと思う。」・・・これもなるほどそうです。


「金融での若い女性を起用したCMは、とても軽く借りれて利子も高くないイメージになってしまうし、言葉がテロップで計画的にって言ってても、若くさわやかな女性というイメージに負けてしまうと思います」「消費者金融のCMについては、今までに気づかない誘いで、つくられていることに驚いた。まだまだいろんなところに差別をしているところがあると思うと考えさせられる」・・・消費者金融CMでの若い女性イメージの威力が何をカムフラージュしているかに気づいてくれたのはよかったのではないかな。