日本女性学会への質問状とお返事

日本女性学会宛に、以下のような質問状を5月31日付けで送付しました。
6月17日に到着した回答の概略とともに、紹介します。

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私どもは日本女性学会の会員として、学会ニュースを拝読させていただいております。最近の『学会ニュース』および、日本女性学会の方向性について、疑問が生じています。とくに以下の2点についてお伺いしたく存じます。


1)『学会ニュース』106号について
 『学会ニュース』106号において、幹事の伊田広行氏に関連する分量が図抜けて多くなっています。まずは、伊田氏が司会をされる6月の2006年度学会大会シンポのお知らせ記事が1〜3頁にかけてあり、同大会の分科会とワークショップのプログラムをはさんで、7頁には伊田氏執筆のジェンダー概念に関する「シンポジウム報告」記事、引き続き同頁に関連情報として伊田氏執筆の男女共同参画/ジェンダーフリーバッシングに関する本の刊行、そして最後の8頁には、会員著書紹介としてトップに伊田氏の著作が紹介されています。 特定個人に関する記事がこれほど多い(全8頁中5頁)というのは、日本女性学会のニュースレターとしては、バランス感覚を欠いているのではないでしょうか。このニュースレターの執筆内容に関する決定がどのようになされたのかをお聞かせかせください。


2)日本女性学会ジェンダーバックラッシュ)研究会の刊行物について
 106号の7頁「関連情報」に、日本女性学会ジェンダー研究会編『Q&A 男女共同参画ジェンダーフリー・バッシングの論点』(明石書店)に関する情報が掲載されています。バックラッシュ状況に対抗するという、大変重要な目的のもとに、日本女性学会の名前で出す刊行物ということで、大変この企画には関心をもって、注目いたしております。ですが、この「ジェンダー研究会」の実態が『学会ニュース』を通じてはひどくわかりづらいので、お尋ねします。例えば、『学会ニュース』を遡ってみてみると、「バックラッシュ研究会」(105号 6頁「第六回幹事会議事録」)という名称が使われていたようですが、名称が途中で変わったのでしょうか。また、この研究会は幹事会企画研究会か、個人企画なのかもわかりません。学会大会でも関連ワークショップを午前午後と2回も開催されるということですし、幹事会の議事録でも、毎回この研究会についての報告があり、学会員にたいしても、幹事会議事録の前後に、研究会担当幹事による「研究会より」というお知らせがたびたび入ります。


 さらに、研究会担当幹事と、研究会の担当者が完全に重なっているようです。このようなことから、幹事会企画と判断するのが自然だと思われますが、そうなのでしょうか?(これだと刊行物はかなりの程度まで日本女性学会の方向を示すものと理解されましょう)「日本女性学会ジェンダー研究会」編として出版されるということは、学会自体がかなり関わっているとみなされると思われます。しかしながら、この本が宣伝されている明石書店のホームページでは、日本女性学会の名前が使われながら、伊田広行氏のインタビュー、ホームページアドレス、ブログアドレスなどが目立ち、個人著書のようにも見えます。この宣伝からは、伊田氏以外にどなたが関わっているのか、まったく見えてきません。日本女性学会名を出しながら表面上、伊田氏の個人著作のように見えるのはおかしいという意見も耳にしています。どうしてこのような宣伝が日本女性学会の名の下になされているのでしょうか。この「ジェンダーバックラッシュ)研究会」の正式名称、幹事会の企画か個人企画か、刊行物の宣伝に特定個人の男性ばかりがクローズアップされているのはどういう理由によるのかなどについて、ご回答をお願いいたします。


 年次大会の総会でお伺いできるとよいのですが、残念ながらスケジュールや遠方在住という都合上、出席することができません。ご多忙な中恐縮ですが、6月20日までに下記住所に文書にてお返事をいただけますと幸いです。
     2006年5月31日

日本女性学会 幹事会御中

日本女性学会 会員
斉藤正美
山口智美

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この質問状に対する返答が6月17日に届きました。
回答の概略は以下のとおり。

1)執筆者構成に問題があるとは考えてはおらず、単に伊田氏がシンポコーディネータであったこと、研究会担当幹事であったことの偶然の重なりの結果だった。

2)
・第十二期研究会担当幹事をはじめとする会員により新設され、この活動を第十三期研究会担当幹事や他の会員により継続した。
・ウェブ掲載のQ&Aを発展させたのが、本という位置づけである。
・もともと「バックラッシュ研究会*1」とよばれていたのだが、メンバーのいれかわりもあって、「ジェンダー研究会*2」と名前を変えた
明石書店HPの、伊田氏ブログへのリンクは誤解を与えるので削除した。

3)伊田氏の幹事会活動への謝辞が書かれていた。


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これに関しては、以下のサイトに関連情報がありますので、ご参考になさって下さい。
イダ・ワールドと「暴力」と「反動」http://d.hatena.ne.jp/discour/20060509
日本女性学会本は学会幹事会が責任編集http://d.hatena.ne.jp/discour/20060618
日本女性学会&イダ氏議論関連総合リンク http://diary.jp.aol.com/mywny3frv/260.html
日本女性学会サイト http://www.joseigakkai-jp.org/index.html
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*1:学会ニュース100号に、橋本・船橋・細谷が担当 とある。この名称での研究会のお知らせは、103号にも掲載された。104号には、「伊田広行、内海崎貴子、船橋邦子、渡部亜矢)を中心に、『Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシングの論点』(仮題)という本を研究会編で作成」という報告が掲載されている。

*2:106号からは、突如、この名称がニュースに掲載される。報告は、イダヒロユキ氏による