「男はつらいよ!?」ワーク

discour2006-11-19

昨日、男女平等推進センターで「男はつらいよ!?」http://www2.city-takaoka.jp/gec/Kouza_H18/kouza-simin-5.htmlという富山県男女共同参画推進員高岡連絡会企画のワークショップ(市民企画講座)に、コーディネーターとして参加させていただきました。2部構成でstep1男の本音ぶっちゃけワーク、step2こんなん やらんまいけ、からなるものです。本音トークでは、グループに分かれて「男はつらいよ」に該当することを各自ポストイットに書き出し、模造紙に張り出しました。その際、男女の意見をわけて貼って比べてみました。途中にお茶が入りました(あんころがおいしかったねー)。後半のstep2では、一つの輪になってディスカッションしました。結論からいうと、いろんな意味で大変刺激的なワークショップでした。お世話下さった方、ありがとうございました。右の写真は、女性の参加者が想定している「男はつらいよ」と思われる理由です。


刺激的だった点その1、20名弱と参加者は少なめだったのですが、黙っている方は一人もなくみなさん言いたいーという感じで「本音ぶっちゃけワーク」だったことです。参加者のみなさんは、男女はほぼ半々で、40-50代のかたが多かったようでした。人数が少なかったので安心して話せたということはあるかも、です。


その2、「男はつらいよ」とは男性はあまり思っておられないことでした。むしろ女性の方が「最終決定のプレッシャー」「つらいことがあってもさらけだせない」から「男はつらいよね」とおもんばかっておられるのが意外な点でした。男性は、言われてみればそんなこともあるなあ、と思うが日ごろはそんなことを思ったこともないとおっしゃるのです。「どうして?」と尋ねると、「日ごろから訓練(教育)と経験を積んでいるから」とのこと。男として仕事でも責任でも担うべきことは粛々とやるものだと訓練と経験を積んでいるから大変だとは思わない、そんなもんだとおっしゃっておられました。女性陣からはへえ〜という声があがりました。女たちもそういうもんだと思って取り組めば管理職だってリーダーだってなんだってできてしまうってことじゃないか、という意見も出ていました。しかしながら、男達は、本当につらいと思っていないのか、思わないように封じ込めているのか、どっちだろうという疑問が残りました。男たちには、「公私のけじめが大事」って思いが強くあるようです。家庭のことを公的な場で口にすることにわだかまりがあるんじゃないかという気も・・・。で、自殺する男性が多いのをみても、予防医学のようにひどくなる前からいろいろ対策をとることが大事ってこともあるんだからという感じがちょっとしました。

 
その3、もっとも盛り上がったトピックスは、「跡継ぎ問題」でした。地元で地域活動しておられる方がほとんどだったのですが、そういう方は家に跡継ぎとして残っておられる方々だったのですね。参加者は、長男、女姉妹の長女、一人っ子さんが圧倒的でした。だから、「男はつらいよ」問題がいつのまにか、後継者問題へと収斂されていきました。後継者というのは、家、土地、たんぼ、山林、自営の会社、墓などをどう継承するか、ということです。確かに、これは「少子高齢化」している地方都市ではかなり深刻な問題です。女たちは「家の恥」とされてきたDVや、「された女にすきがあった」などと当人が非難されてきたセクシュアルハラスメントを、「個人的なことは政治的なこと」というキャッチフレーズで「公的な問題」としてきました。きっと男性は、自分の家や土地や会社などをどうするか、という課題をあくまで個人的な問題として自分で解決しようとしてこられたのかなという気がしました。しかし、墓やお寺さんのこと、田畑、山林の管理などはれっきとした「地域の問題」です。これからは、地域の問題として議論していかないと地域全体の対応が遅れてしまうと強く感じました。子どもたちだって親の言っていることと本音のダブルメッセージを受け取ってつらいだろうなという気がするし、、。いずれにせよ、男性が抱えておられる問題でも、女性運動が取り組んできたアプローチは参考になるんではないかと思いました。


その4、跡継ぎ問題が「男女平等」の問題であるということが参加のみなさんに共有されたことです。話し合う中で男性陣もみなさん、そうだ跡継ぎ問題は、男女平等・共同参画の問題だと思うと口々におっしゃるのです。このワークの切り口は「性に関する差別解消の視点で考えること」でした。男女平等問題として、家、自然、事業、地域などいろんな方面における後継者問題があるという共通認識ができました。こういう理解はちょっと想定を超えており、共通認識がもてたことがうれしいことでした。いやーしかし、東京や大阪などの都会ではあまり問題にならないけど、地方で深刻な問題ってのは、確かに「男女平等」や「性差別」問題にだってあるはずです。「ジェンダーフリー」「ジェンダー」ということばを守ろうという声も聞かれる今日この頃ですが、地方に住んでいる者としては、自分達の足元に転がっているより切実な問題に取り組んでいきたいなーと思ったことでした。


その5、「男はつらいよ」に対する男性自身による取り組みとして、冒頭でわたしは同性愛者の運動や性同一性障害トランスジェンダーの方達の運動を例にあげました。また、「男性」といっても一つではなく、置かれた立場、職業、民族、地元に多い中国人、フィリピン人女性をパートナーとする男性のことも挙げました。しかし、その後の議論の中ではなかなか自分以外の人達のことを想定して出すのは難しく、マジョリティ男性を想定しがちになってしまった点が課題として残りました。


推進員のみなさんには、男性問題に取り組まれたことはすばらしいと思いました。また、自治会で話し合うのはちょっとーという声もありましたが、ぜひこの問題をこれから地域で話し合っていっていただけたらと思います。その際には、決して大人数ではなく、少人数から始められるとうまくいくんじゃないかと思います。