「女」の視点・「女性」の参画とは?

さる16日(日曜)に、高岡市男女平等推進センターで「女性とまちづくり地域会議2007 政治・女性・しごと」がありました。杉浦さんは「憲法勉強会」とダブルヘッダーを軽々とこなされました。そのエネルギーに感心し、またその熱意に頭が下がりました。考え方はもちろんのこと、とても気さくで感じのいい方で、こういう方にこそ議員さんになっていただきたいと思いました。


当日の杉浦さんのお話しされた内容や、当日の様子は、杉浦ひとみの瞳や、イソップ通信でくわしく紹介されています。わたしは、政治家になるために「腹をくくった」杉浦さんに心を寄せたいと思ったし、日々ご自分の考えをブログに書いて、それによって「自分を変えていく」という姿勢を示されていることにも強く共感を持ちました。


ただ、高岡のイベントを受けて書かれている中で、一つ気になる点がありました。高岡でのご報告が提案「立法を女性に任せよう」  乗ってみませんか?という議論に発展していることについてです。


杉浦さんはこう書いておられます。

女性の視点で社会のルールづくりがされたら社会が変わるのではないかという仮説を持っているのですが、私はその理由として、女性は大義名分とか社会通念に流されずに、命や平和という大切なことを訴えていける強さを持っているのではないかと思っています(この実証をしたいのですが・・・)。
この点、高岡の女性の会では、女性は社会に多様性を与えることができる、という視点でそれを推進されて来ていました。


確かに、当日杉浦さんにお願いした講演タイトルも「女性の手で社会(政治)を作り直そう」というものでしたし、当日の発言者もそうそうたる女性たちでした。JA富山の理事をされている山出節子さんは、「畑が職場で200万円」「デイサービスセンターで農作業を」などさまざまな仕掛けでアグリビジネスを成功させた立役者である。経営者である藤森雅子さんは、自分の子育てが終わったからと今度は「夜間託児所」を開設し、かつてとった保育士資格を活かして自らこどもを見守っている。3番手の山下清子さんは女性と政治キャンペーンでも活躍されており、このサイトに来られる方にはおなじみの方も多いはず。


そういったツワモノの女性たちを前にしたら、ほんと「女性は元気」「女性こそ社会を変えるのにふさわしい」などということばを発したくなるところです。しかしながら、当日発言者の発言が終わってすぐに会場から出たコメントに、「女性だったらだれでもいいのか?」「男性はダメだと決めていいのか?」と議論の展開に危惧が寄せられていた。実際には、同じ女であるというのに、3人の発言者の寄ってたつ位置やそれぞれのアイデンティティははるかに異なり、「嫁としての苦労」や「子どもを大学にやる学費を一人で稼ぐ苦労」など同じ女といってもそれぞれの苦労が違っていることで「苦労競争」が始まり盛り上がっていました。


よって、「女」をそう簡単にひっくるめることはできないぞと思うのです。「女性」とはだれのことか、考えてみなくてはと思います。


そもそも、女性であったら「命や平和」を訴えていけるのだろうか。これまで戦争になった時に、女たちは「戦争反対」「無駄死にするな」と戦争反対の旗を立てて闘えたことがあっただろうか。女だというだけで、「戦争反対」や「平和の希求」を掲げたり、「戦争をおこさない」ことを可能にする要素があるだろうか。もしこれにあるといえば、女性には本質的な特質が備わっているということになり、女性劣位の状況を変えていくことが難しくなるのではないだろうか。


また、後段の「高岡の女性の会では、女性は社会に多様性を与えることができる、という視点でそれを推進されて来ていました。」というのは、こちらの説明不十分だったせいで、若干違って理解されているようです。

わたしが関わり知っている限りでは、事情はこうです。高岡女性の会連絡会では、この「女性とまちづくり地域会議2007」の前にワークショップを行っている。そこでは「男女共同参画」「男女平等」というけれど、それが達成した社会はどんな社会かいまいちはっきりしない、一体どんな社会なのだろうということを議論しました。その時にあがってきたのが「多様な価値観を認める社会」になるといった意見だった。実際に、女性の参画が社会に多様性を与えることが実証されたのではありません。また、そういった視点で女性の参画を進めてきたというのも少し事実とはずれがあるかなと思われます。


杉浦さんとイソップさんのブログを見る限り、「女性とまちづくり地域会議2007」では、女性の参加が「命や平和」につながるという議論がなされていた印象がありますが、それについて議論が盛り上がったということではありませんでした。わたしはコーディネーター役だったのですが、「「女性」の連帯は必要だけど、それにはそれぞれの立場や考え方の違いを存分に理解しあってからでないと難しいことも、立場のまったく異なる三人の女性たちの発言からよくわかったのではないか」というコメントをしました。


杉浦さんの議論がもっともっと発展していくのを期待するからこそ、異論を述べさせていただきました。

これで、今月入ってエントリーがようやく3つです(とほほ・・・)。今後、できるだけ書いていきたいと思っていますので、おつきあいのほどよろしくお願いします。