フェミニズム運動は草の根運動に戻ること
最近、『バックラッシュ!』発売記念キャンペーン跡地に「運動内・学会内マジョリティの「連帯」をぶち壊すということ」という座談会がアップされた。日頃感じていた学会内、フェミニズム内での違和感について言葉を発したような記憶が、、。この時はまとまらない話になったなあと思っていたが、macskaさんによって「運動内・学会内マジョリティの「連帯」をぶち壊す」というタイトルがつけられたら、俄然、ああ、そういうことだったかー、まとまった!と感心してしまった。
このチャットにつられて、もう一つ感じたことを書く。「好きやねんドーンセンターの会」のことだ。この会の設立には共感を持っているわたしだし、橋下知事が男女共同参画といえば子育て支援に即結びつける態度には疑問を感じている。しかし、これでは運動としてどうなんだろうと思ったこともある。
第一に、今必要なのは、ドーンセンターが今の大阪にはこれだけ必要なんだということを広く大阪府民に知らせることだとすると、名前が「ドーンセンターの機能縮小と売却に反対する」という政治的な目的とむすびつかないなーという感想を持った。ドーンセンターが好き、嫌いというのは嗜好の問題である。この名前だと、「へえー、好きな人がやっているんだ」と思わせ、逆にもともと好きではない人を近寄りがたくさせるかもしれない。好きな人いるんだったらそっちでやってもらえばいいやと・・。
それより、ドーンセンターでやっている幅広い事業のユニークさ、有意義さを広く知らせたらどうだろう。例えば、「<学校教員のためのワークショップ>男女共同参画の視点による教材づくり〜」講座など、学校教育行政では抜け落ちている分野を縦割りではなくやってくれているよい企画だと思う。
新学期に向けて題材集め、教材づくりをしませんか。
漠然としているものを明確にする、違いや類似性を表現するのに、
地図はとても有効なツールの1つです。
「家族」「仕事」「子ども」「教育」「生活」などのテーマを日本地図に表した
『地図でみる日本の女性』を使って、明日からの授業で使える教材を作成し、
どのように活用、展開できるかを考えるワークショップを開催します。
ファシリテーターのスキルも学べます。
また、ドーンセンター情報ライブラリーでの「広報物作成相談」は、行政職員のために役立つもので、これも縦割り行政の隙間を埋める効果を持つだろう。
冊子、チラシ、パンフレット、ポスター・・・広報物を作成する時にどんなことを意識していますか?多様な受け手を意識し、それぞれの価値観を大切にする男女共同参画の視点はとても大切です。 「理屈はわかるけど具体的にどう表現すればいいかわからない」そんな方は、ぜひ、ドーンセンター情報ライブラリーへご相談ください。
第二に、「全国から署名を集める」というフェミニズムのいつもの対応はどこまで有効だろうか。ネット時代、世界中から集めるのは簡単だが、それが府自治体の政策を決めるのにどれだけ効果を持たせられるか疑問もある。
ドーンセンターの機能縮小と売却に反対する署名は、全国・全世界展開しています。
日本中に住んでいる老若男女の署名を受けつけております。
東京にお住まいの方も、札幌にお住まいの方でも、那覇にお住まいの方でも署名していただければ幸いです。
また、全世界からの署名も受けつけております。
ソウルにお住まいの方でも、シンガポールにお住まいの方でも、上海にお住まいの方でも、署名していただけます。
大阪とドーンセンターに愛のある方、大歓迎です。
ご協力、お願いいたします。
全国から、世界から賛同の意思を集めることができるというのはネット時代の強みである。しかしながら、それはドーンセンターの機能縮小と売却に反対する活動として真に有効な方法であろうか。
これでは橋下知事の意気込みに負けそうだ。
知事の役割として次の3点を掲げ、意気込みを示した。
「府庁を変える」「大阪の未来を作る」「大阪を輝かせる」
近年のフェミニズムは、対バックラッシュということで何かあると署名を集めて勢力を結集しようとしている。しかし、東京、札幌、那覇、ソウル、シンガポールから来たドーンセンター売却反対の署名が大阪府民にとって説得力をもつとも思えない。それにどれだけの数を集められようか。そんな数で押すことより(実際にはそんなに多くの数を集めるられるかという問題もある)、地元での小さな活動の意気込みの方が大きな力を発揮するような気がする。ありが象に勝つというような。フェミニズムが中心から発する動きになってから草の根が弱くなっている。このサイトやその戦略をみて、フェミニズムが草の根的な動きから遠くなっていることをまた感じてしまった。
「好きやねん」というのは、地元の意気込みを固めるために表したメッセージではないかと思う。インターネットのサイトだからといって、全国、世界に向けて発信する必要はない。勝ち目があるとしたら、大阪府民に向けて説得力や愛着を感じてもらうことではないのだろうか。丁寧に事業のよさや他ではできないなどと必要性を語りかけることの方が大事なように思う。やっぱり、フェミニズム運動の原点は草の根運動である。