*ジェンダーについて

『アカデミアのコトバ化された「ジェンダー」の意味が、実はアカデミア内でも共通理解がどこまであるのか、という状態なのも問題かと思います。「ジェンダー・フリー」ってのはもとは造語(英語では違う意味で使われている)だけど、これもすでに日本のアカデミア用語化してしまったのだろうか?』

  • アカデミアでの「ジェンダー」概念の共通理解がないんだろうなというのは、もろもろ本をみていても思うことだし、わたしのHPサイトがYahooの社会科学、ジェンダー研究にディレクトリー登録されて以来、「ジェンダー」を検索語として飛んでこられる方がキーワード検索の中では圧倒的多数を占めていることからも感じていたところです。9割ほどがジェンダーで探し当ててこられているんですよ。いまそんなにジェンダーに関心が集まっているんだっけ?とちょっとびっくりでした。いや逆に、それほどジェンダーがわけわからなくなっているのだということなんだろうと思い直しているところです。山口さんのブログでのジェンダー議論http://diary.jp.aol.com/mywny3frv/、拝見しました。ジェンダーの議論を深めていきたいですね。
  • ジェンダー・フリーは、Yahooのディレクトリーをみる限りでは、アカデミアとは別のことばとされているようです。
  • しかし、ジェンダー・フリーは、アカデミア用語としても教育領域で一部定着しているようにも思います。『岩波女性学事典』では以下のように「ジェンダー・フリー」1項目としてあがっています。
  • ジェンダー・フリーgender free:ジェンダーの制度的・心理的障壁(バリア)を外し、自由になること。”男女”という性別カテゴリー間の不平等に注目し、その是正を意図するとともに、ジェンダー認識の呪縛から自由になることに力点をおいている。英語での使用事例はあまり多くないが、日本社会ではバリア・フリーから援用して1995年頃から使用され始め、21世紀を迎えた今日では、学校教育における新しい男女平等教育を意図するもの、地方行政の男女共同参画政策の標語、目指している社会システムのイメージを表現するものとして多用されている。ジェンダー・フリーに対しては、性にかかわる不平等、差別、抑圧の構造的・制度的差別への認識を弱めるとの批判もあるが、この概念は”男女”という性別二分法システム、性別カテゴリーを打破する視点を提起するものでもある。なお、”ジェンダーがない”という場合には、”ジェンダーレス” (genderless)を用いる。(舘かおる)」(p.169)