服・身体・ジェンダー

  • 病院の待合室で読んだ『流行通信』におもしろいことが書いてあった。なんだかジェンダー特集みたいな号だった(2004年11月号)。宇津木えりジル・サンダーとヴェロニク・ブランキーノという3人のデザイナーへのインタビューがでていた。
  • メンズも作り始めた宇津木えりに、「なぜ女っぽくない服なのでしょう?」と聞いていた。宇津木は、「冷静に自分を分析してみたのですが、私って実はとても女な性格なんだと自覚しています。そうゆう性格とともに、人から女らしく見られたくないという気持ちも同時にあるから、妙に女を感じさせる服を敬遠してしまう。自分でもそうだから、デザインする服も、自然とそうなっちゃうんですよね。でも、『ボーイッシュ』という形容詞は当てはまらないと思います。私なりに自分の中での気分を大切にしていますから。フェミニンでないからといって男の子っぽいともいえない。自分でも本当に着たい服ってジェンダーレスな服なんだと自覚していますし・・」と答えていた。
  • 以前、あるセレクトショップのオーナーが「男のデザイナーは自分がみたい女の服をつくるけど、女のデザイナーは自分が着たい服をつくるよね。だから女のデザイナーの服の方が好きで、どうしても女のデザイナーの服ばっかりになってしまう」と言っていた。その時、自分が「なぜ女のデザイナーの服が好きなのか」がわかった気がしたものだ。特に選んでそうだというのではなく、ふと気がついたら、これまで覗いてみたいと思ったのって女性のデザイナーさんのが多かったという程度の「好き」なんですが、、。
  • 宇津木の発言を読んで、こんどは、「なぜ女っぽい服が好きなのか」がわかったような気がしてきた。自分の性格(として意識している部分)が女っぽくないからなんんだなあという風に納得できたのだ。
  • もう一つ、この雑誌で気になる箇所があった。それはジル・サンダー(名前だけ知ってるけど、洋服は試着したこともないです。入らないのかな?もしかして・・)のことば。「男性と女性の身体は全く違いますが、それだけではなく身体との関係も全く異なっているのです。これは決定的な違いです。身につけている服を通して社会空間にも属している”身体”、男女がそれぞれ持つ身体と社会との特別な関係も考慮に入れなければならないと思います。」
  • これは、「メンズ/レディスのデザインの際は何でしょうか?」というReina Shimizu の問いに対する答えだった。男と女は、自分の身体への関わり方が違うというデザイナーのとらえ方に興味が惹かれました。でも、それについてはこれ以上発言していませんでした。なんか禅問答のようで、どっかにひっかかっています。どなたか、このあたりについて論じているものや、お気づきのことあったら、教えてほしいな。もちょっと考えたいと思っている。ハルバーシュタムが日本での講演会で、会場を見渡し参加者女性たちがどちらかというとマスキュリンな洋服を着ている人が多いことについてなんか言及していたのをネットでみた覚えがあるんですが、今回探してもみつかりませんでした。知っている方、書き込んでくださいませんか。
  • そうそう、待合室に『流行通信』置いている病院ってのもいいでしょう?!富山市の檜山医院です。富山県立医科薬科大学和漢薬の先生だった方です。いつも混んでいるのが難点ですが、ユニークなクリニックです。診療は雑談が多いところが楽しい。
  • ところで、宇津木さんって、1月にフラボアのデザイナーを辞めていたんだって。ご本人の宇津木日記ってのがみつかった。http://www.eriutsugi.com/blog/ それにジル・サンダーだって辞めたり買収されてりなんだりと相当激しい展開のよう。う〜ん、この業界も大変そうだな、と思ったことです。おわり。