富山在住外国人の6割が女性


 富山で暮らす外国人についてメモ書きしておく。主に用いたデータは、「富山県多文化共生推進プラン」(平成19年3月)、ならびに「在住外国人に対するアンケート調査」(平成18年6月〜7月)である。


 富山に在留する外国人の6割が女性、しかも、20-30代女性が急増中という点がもっとも興味深いところある。外国人労働者っていうと男性というイメージが強いためか、女性の方が多いっていうのはちょっと意外ではありませんか。また、富山は外国人の増加率が全国的にも著しいため、ニューカマーが多いってことだ。それと、富山は中国人妻の割合が最も多いのは富山県で62.3%というデータもあるように、国際結婚が多い。富山の男性が中国やフィリピン女性と結婚する形が主となる。よって富山は「ニューカマー女性」が多い県といえそうだ。


1) 外国人の増加が著しい:富山県における外国人登録者数は、2007年12月現在、68カ国 約15,370人と、富山県人口の約1.4%を占める。全国平均の約1.7%よりはやや低めであるが、前年同月(14,891 人)に比べ 3.2%の増加率は全国的にも高く、10年間で約2倍となった。1990年に対する2007年の大きさは5.4倍(人口比の伸び率)となっており、全国では徳島に次ぐ高さという指摘もある。
2) ニューカマー外国人が増加:内訳は、中国、ブラジル国籍者で全体の3分の2を占めるなど90年代以降のニューカマーの増加が顕著である。(6,006人 39.1% ブラジル 4,298人 28.0% フィリピン 1,653人 10.8% 韓国・朝鮮1,341人8.7%)
3) 女性が6割:急増しているのは、特に20代から30代の女性である。外国人登録者総数でもおおよそ6対4の割合で女性が多い。
4) 家族居住型が多い:配偶者や親・子どもなどとともに暮らす家族居住型は全体の75%を占める。
5) 国際結婚の急増:この10年間でおおむね2倍に増加。近年は中国人女性との結婚が急増。次にフィリピン人女性が常に一定程度の割合を占める(法務省「在留外国人統計(平成17年度版)」2004年)。ブラジル人では日本人の配偶者が25.3%、中国人では日本人の配偶者が10.3%を占める(法務省「在留外国人統計(平成17年度版)」2004年)。
6) 配偶者や親・子どもなどとともに暮らす家族居住型は全体の75%を占めるなど定住、永住者が多い。
7) 居住は非集住、散在型:突出した集住地区がなく、それほど少なくない外国人が広域に散在して住んでいる。


 このように富山に外国人が急増しているのは、経済の東京圏一極集中による労働人口の転出(および予備軍としての県外への大学進学)が著しいためであろう。高齢化が進む一方、出生数減少が進み15歳未満人口の比率が13.5%と低い。長期的には人口減少傾向に拍車がかかることが予想される。
 富山はこれまで持ち家率やその床面積など住居水準の高さや、医療・福祉などにおける安心や商業集積などの利便性が高いために、住み良い県と言われてきた。しかしながら、特に、年間1万人程度の高校卒業生の半分が県外へ進学し、その後戻って来ない者も少なくないようだ。若年労働人口が減少するため、限りある若年労働者は介護・看護などの福祉サービス業に必要とされ、言語コミュニケーションや熟練技術が不要なより低賃金の労働がブラジル人や中国人などの外国人労働者によって担われていると考えられる。
 さらに、外国人が富山で暮らす際の課題をざっとまとめた。データは先述の「富山県多文化共生推進プラン」(平成19年3月)、ならびに「在住外国人に対するアンケート調査」(平成18年6月〜7月)に基づく。課題は、ニューカマーが多く、しかも女性が多いことを反映している。


1) 母国語での行政情報へのニーズが高い:外国語での行政情報について十分だと思っている人は少ない(14%)。「病院や医療」、「災害や事故などの緊急時情報」、「日本語を学べる場所」など、日常生活 に直接関わることや安全に関する情報の充実を求める声が多い。多言語による行政情報は、6割近くの人が「足りない」としている。
2) 母国語による情報を多く利用:日本語を話す、聞くことができる人は6割以上だが、漢字のある日本語を読めない人の割合が高い。そのため、文字よりも音声を利用、日本語よりも母国語による情報を利用している人が多い
3) 悩みへの対応は家族・親戚頼み:深刻な悩みごとができたときには、「家族・親戚へ相談する」が最も多く、次いで「日本人以 外の友人に相談する」、「日本人の友人に相談する」となっている。
4) 潜在化する悩み:「誰にも相談できなかった、 相談できず今も悩んでいる」という人が10%を超える。 気軽に母国語で相談できる体制が必要。
5) 母国語相談の充実:今後必要な支援としては、母国語での相談や役所や学校、職場などでの相談体制の充実が必要と考えている人が多い(母国語相談の充実が48%、役所・国際センターの相談充実が34%)
6) 差別経験を持つ人が多い:外国人だからという「差別を感じた」ことがある人は64%を占める(「在住外国人に対するアンケート調査」)


 いろいろと課題が山積みである。そしてその多くは「男女共同参画」ともクロスする課題であることに気づかされる。