【教育】大学非常勤講師の実態

 先日、東京での研究会の帰りにご飯でもいっしょに食べようかと仲間で近くの居酒屋によることになった時、一人が言いにくそうに「家でご飯食べないと・・」。非常勤生活で生活を成り立たせるのに外食という選択肢はないということだった。そういうことならみんなでなんとかするから・・といっしょに居酒屋に行って話の続きをした。

 このほど、「大学非常勤講師の実態と声 2007」という大学非常勤講師実態調査アンケート報告書 (2005-2006調査)がまとまった。その実態が広く知られるのはいいことだと思う。

 小学校から大学院まで多くの人は21年以上(小学校入学後、博士後期課程をすんなり通過するまでには、なんと21年かかるのだー)も学校へ投資してその曉が年収300万円(平均だからそれ以下の人が半分くらいいるってこと)が一生続くっていうのはいくら仕事にやりがいがあったにしろ厳しすぎる。


 以下は抜粋です。

* 55%が女性,45%が男性.
* 76%が日本国籍,24%が日本以外の国籍.
  * 平均年齢は,45.3歳.
  * 平均年収は,306万円で,44%の人が250万円未満.
* そのうち授業・研究関連の支出の平均は,27万円で,ほとんど公費は出ていない.
* 平均経験年数は,11年
* 平均勤務校数は,3.1校,平均担当コマ数は,週9.2コマ.
* 専業非常勤講師の96%が,職場の社会保険に未加入で,75%が国民健康保険,15%が扶養家族として家族の保険に入っている.国民健康保険料は,平均26.4万円 (平均年収の8.6%) と高額で,国民年金保険料 (年166,320円) とあわせると,年収の13%.非常勤先で社会保険加入を希望する人は,79%.
* 雇い止め経験のある専業非常勤講師は50%.
* 専業非常勤講師のうち,非常勤講師に労災保険が適用されることを知っているのは27%,年次有給休暇の制度がある大学もあることを知っているのは24%.
* 大学非常勤講師の労働・教学条件について不満のある専業非常勤講師は95%で,特に,雇用の不安定さ,低賃金,社会保険未加入,研究者として扱われないことなどに,不満を持つ人が多い.

 特に、自由記述を読むと身につまされます。例えば・・

◆賃金の安さは,想像を絶する.恥ずかしくて他人にはいえない.過去においては,月に何度か講演を頼まれたりしていたが,一回少なくとも3万円はもらっていたが,今は,月に4回講義して,3万円強である.最近は,臨時・パートについても,同一労働同一賃金になりつつあるのに,大学側の認識の遅れは甚だしい.しかも,各大学とも同水準とのことで,一種のカルテル行為が行われているに等しい.少なくとも2〜3箇所で講師を務めれば,常勤教官と同レベルの収入が得られるようにすべきだと思う.