学校現場における性差別:性別職務分離

  • 本日の「随想とやまの目・ジャーナリズム」が、朝日新聞同欄を私が担当する最後の回であった。それを読んだ私の高校時代の恩師から電話をもらった。そして伺ったのが富山県の教育現場における女性教員への性差別待遇の数々であった。すでに退職された先生ではあるが、富山県内の高校では長い間、女性教員は普通科(進学コース)の担任を持たせてもらえなかったこと、また進学校に勤務希望を出したら、女のくせに進学校に希望を出すなんてと言われ、希望がなかなか叶わなかったことなどを語ってくださった。
  • そういわれて初めて、私は高校時代の担任の先生がみな男性教員であったことに気づいた。電話くださった先生は教えることでも大変すばらしかったし、また人間的にも他の先生より尊敬できた方であった。それでも私は「女だから担任にはなれなかった」ということにこれまで気づいてもいなかった。性差別は意識しないと気づかないものだなと改めて「ジェンダーに敏感な教育」の重要性を思った。
  • そういえば、私の高校時代、大学進学に際して「法学部を受けたい」と言ったら、「女がそんなとこへ行ってどうする」と男性の担任から言われたものだ。
  • 学校現場における教員の性差別的待遇は、女子生徒、男子生徒の性差別意識を再生産するという点で大きなマイナスである。決して、個人の処遇だからと我慢することではない。しかし、まあ堅い職場だから、なかなか事挙げできないんだろうとは思う。最近では、教員の世界でも女性の管理職が増えているが、「まず校長にお酒の酌に立つ」女性がそうした重要な職に就いているというお話も耳にした。
  • 男女平等推進プランなどで教育委員会の方と話すと、学校では男女平等になっているのに何を言うかというような対応をされることがしばしばある。しかし、多くの女性の教員は退職の日までじっと我慢の子をしているともおっしゃっていた。あるいは、有能な方の中には、あまりにばかばかしくて、退職の日を待てずその前に辞めてしまって趣味の世界に身を投じ充実した日々を送っている方もあるという。日々、男性は上位ステータス(担任などの学生指導、学年主任、教頭、校長など管理職)に就き、女性は下位のステータス(ヒラで上の言われることを黙ってこなす職務)へと誘導されるのが当たり前になっている環境で若い生徒が学んでいるなんて、どう考えてもいい教育環境じゃない。
  • ジェンダーは職場で形作られる」。男女平等教育を進めるには、働き方における「性別職務分離」など、改善すべき点がたくさんあるなあと感じた。
  • 住友金属が「女性であることを理由に昇進、昇格などに差別をしていた」ことに対して、それを認め、損害賠償せよという判決が出た。やはり、過去に遡って「性差別」をただしていくのも、しんどいことだけど重要なことだと思う。原告の忍耐と勇気に乾杯!

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