ウルトラ右派勢力の「美しくない話」

「悲劇の意味をすり替えたジェンダー叩き勢力:『ブレンダと呼ばれた少年』の著者J・コラピントに聞く」『週刊金曜日』9月22日号をようやく手に入れたので、じっくり読ませてもらった。長年の購読者である父のところに寄ってもらい受けてきたのだ。元原稿は小山エミさんがブログで公開しておられるので参照していただきたい。http://macska.org/article/155わたしはネット原稿は以前に読んでいたが、改めて紙媒体の記事を再読したというわけだ。


週刊金曜日』本誌での小山インタビューのほうがネット原稿より迫力をもって伝わってきた。おそらく、「次期政権で文部科学大臣の呼び声もある八木秀次高崎経済大学教授」なんてキャプションとともに八木氏の顔写真が載っており、具体的にウルトラ右派勢力をイメージできる。また、「性が歪められた時何が起きたのか」という副題つきの『ブレンダと呼ばれた少年』の扶桑社版カバー写真や米国での原書のカバー写真も添付されているので、リアリティが増したからだという気がする(いやあ、こんなことやってるのはこの人たちか〜という感じかな)。


著者コラピント氏は、「出版エージェントに(中略)出版社から版権を引き上げられないか調べてもらっている」と明言している。さらに、「本文以外に日本におけるこの本の出版社やその代理人が勝手に追加した部分は全部無視して下さい」とも言明している。出版社や代理人がやったことにお怒りなのだ。



結局、八木氏らが『ブレンダと呼ばれた少年』の著者が日本語を読めないことをいいことに、その言語ギャップを巧みに利用した形で「男女共同参画政策は科学によって否定された妄言だ」などと言っていたことが著者本人に伝わったのだ。それを知った著者本人は、「非常に腹立たしいです」と困惑し、そのような政治利用に対して著者としてしかるべき措置をとるという表明をしている。日本語で書いたことが読めるはずがないからとたかをくくって著者を利用していたのが小山さんによって著者本人に伝わり、たくらみがばれてしまったのだ。ウルトラ右派勢力にとっては、小山氏のこの記事は痛い記事だったに違いない。


ウルトラ右派勢力は、いつもは小山さんにまとわりついているのに、この件に関してはあーともうーともいっていないようだ。「美しい国」をつくろうという人達なら「醜い話」にならないように、「うるわしく」説明をしたほうがいいのではないか。